2010/12/03

-第8号-

四季報をめざして投稿して参りましたこの「さくら通信」も、2010年度夏号、秋号を通り越してしまい、とうとう向寒の時期となってしまいました。不徳の致すところでございます。この間、私自身いろいろな出来事がございました。コンサルティング事業のご縁で2社起業したり、さらに市川市政戦略室委員の委嘱を受け、今話題の事業仕分け人になる等、思惑とは異なった1年を過ごして参りました。自ら図って動いていた時よりも、皮肉にも充実した年であったと実感しております。人の縁とは判らないものです。

さて最近の世相では、リーマンショック一局から波及した景気不安定な要素と違って、国内においては、あいかわらずの政局の混迷や、日中間の尖閣諸島問題、あるいはロシア首相初の北方領土訪問という外交問題が発生し、国際的には、民間人を巻き込んだ、北朝鮮による韓国・延坪島砲撃等、近隣国家での紛争も勃発し、多角的な問題が隣国で発生した年であった気がいたします。身近な関わり合いの中で「今日本の為すべきことは?」といったことを、あらためて再考させられる年だったのではないかと感じております。

過去のさくら通信でも、幾度が述べさせていただきましたが、情報化と高速化の中で、互いが密接な関係になる中、世界は「ひとつ」に向かって加速しながら歩みつつあります。より「個の責任」が問われる時代の中で、国や民族同士が自我にとらわれず、正に「和を以て、貴しと為す」を基本理念として、お互いに認め合い、協調してゆくことが大事であると思います。この基本理念こそ、日本憲法の歴史的骨格であり、その文化的思想こそが、国際的なリーダーシップを果たしてゆくための原動力になるものと愚行しております。

日本の文化には、十七文字(五七五)の短い俳句や、たった一坪の庭の中で、宇宙観を想像したり、また三畳一間や一輪挿しから、侘び寂びの思想を楽しむ等、限られた空間や時間の中で「工夫する力」があります。今や政治三流、経済二流とまで言われている日本の中で、その力である文化こそが世界に誇れる一流品であるといっても過言ではないと思っております。「和」を大事にする日本だからこそ、「OMOTENASHI(おもてなし)」や「MOTTAINAI(もったいない)」という言葉が、世界語として受け入れられようとしています。世界を変えてゆけるのは日本(の文化)かもしれません。
私も母校同窓会長に就任して来年10年目となります。こうした継続も、素晴らしい仲間たちの出会いから「質」に変わることを、身をもって体感させていただきました。全国にある東海大学グループは、地域性や立場の異なる方々の集まりです。多くの関係者の智慧をもって「和」の関係づくりを第一とし、未来の日本の在り方と共に、東海大学を創造してゆき参りたいと思います。この出会いに感謝し、今後も当同窓会の発展に精進して参ります。
合掌

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