2009/04/01

- 第4号 新年度のごあいさつ -

いよいよ平成21年度のスタートとなりました。

しかし未だに出口の見えない未曽有の不況の中で、政治も経済も指針をなかなか示せず、その影はひしひしと家計にも大きく響き、より景気を圧迫しているようです。

そのような中で、東海大学OBである原辰徳監督率いるサムライJAPANのWBC(ワールド・ベイスボール・クラッシック)における優勝は、今の時代の閉塞感に、風穴を通してくれただけでなく、大いなる経済効果を与えてくれました。同じ東海大学グループとして、非常に誇りに思います。中でも調子が出なかったイチロー選手が、最後に決勝打を放ち、試合終了後に応じていたインタビューは、とても感慨深いものでした。

「苦しいところから始まり、その苦しさが辛さになり、さらに心に痛みが来て、最終的に皆で笑顔になれました。」

きっとイチロー選手も、ある局面で“あきらめ”かけたのだと私は感じました。しかし、それは我々が普段使っている「あきらめる」とはあきらかに違うものです。

過日3月4日に行われました平成20年度同窓会入会式で、私はこの「あきらめる」ということに、卒業生への送辞として触れさせていただきました。作家である五木寛之氏の著書「人間の覚悟」の中で氏は、「あきらめる」とは「あきらかに・きわめる」の略語であると述べております。「これでもか!これでもか!」というくらいに粘って粘りつくして、それでも結果が出ない痛みに堪え、さらに頑張り尽くして「いよいよ限界だ!」と極めた人だけがいえる言葉が「あきらめる」だそうです。

今の時代は、ある面で豊かさを享受し、何でもすぐに手に入り易い時代となってしまったが故に、ちょっとした困難に当たるとすぐに辞めて(止めて)しまうことが多くなりすぎているような気がします。これは「挫折」と表現され、あきらかに「あきらめる」とは大きく異なるものであると今は理解できます。

是非、同志の同窓生だけでなく、生徒・教職員も、今一度「あきらめる」を再考し、続けることの大切さを再認識し、この荒波の世相の中を乗り切って、共に豊かな社会づくりに勤しんでいただきたいと思います。私も精進して、昨年度同様、母校のさらなる活性化に寄与して参りたいと思います。

最後の最後で決勝打を打てたイチローは、インタビューで、こうも述べました。

「神が降りてきました・・」

拝、
平成21年4月1日
東海大学付属浦安高等学校同窓会
第5代会長 青山 真士

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