2020/09/01

さくら通信 2020年度版

 2020年8月28日、歴代最長就任を記録したばかりの安倍首相が辞任会見を行いました。我らの東海大学校友会館も7月に閉館する等、国政においても学び舎の世界でも、コロナ禍は過ごし方、働き方、関わり合い方等、個々の在り方についても多大なる影響を及ぼしました。皮肉にも「モノ」から「コト」への価値観シフトをより加速させ、あきらかに物質文明から、精神性へ向き合う変革の時代に向かいつつあると多くの方が実感されていることと思います。

 個人的で恐縮ですが、私には毎年欠かさず必ず観る映画があります。数えたことはありませんが、少なくとも50回は観たでしょうか?日本初公開の年から30年にも及びます。妻とは決まって結婚記念日に観ております。
その作品名は、『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年作品)
米国アカデミー賞作品賞にもノミネートされた有名な映画ですので、多くの方がご覧になったことがあると思います。今ではオンデマインドで誰でも簡単に観ることができます。
物語は、「ある“声”を聞いた主人公が、経営する農場の一部を野球場に改造し、夢の途中でプレーを断念せざるをえなかった亡きメジャーリーガー達を呼び戻す。しかし生活の糧(農場の一部)を失ったために、やがて困窮してゆく彼と家族の先に待つものは・・夢の球場とは?」スピリチュアルな世界で展開するどこにでもありそうな物語です。
この作品が伝えたかった「その“声”」とは? いったい誰か?
映画作品そのものは変わらないのに、年を重ねる(観る)度にあらたな気づきがあります・・そう変わっていたのは自分の視点と動機でした。この作品を観続ける所以です。
この映画の重要なキーワードは3つあります。
「それを造れば彼は来る("If you build it, he will come.")」
「苦痛を癒せ(“Ease his pain”)」
「やり遂げろ(“Go the distance”)」
人は、同じ「つくる」という呼び方でも、「創る」(絵を書く)ことの安易さと「造る」(カタチにする)ことの難しさが積み重なり、「逃げ、傷つき、あきらめ」という負のスパイラルに陥る入るのが常です。この作品は、先の3つのキーワードを通して、何もリスクを背負わないで過ごしてきた野球好きの中年の心理を通して、上手く表現されています。
先に述べましたが、情報化と高速化が外的要因ならば、コロナや環境問題は内的要因であり、より内側(自己)の在り方が求めれております。
紹介した作品「フィールド・オブ・ドリームス」は、自分の“心の声”と“つながり”、そして“夢と天国”はとても身近に存在することをテーマにしております。
そんな身近な地元では、女性の機動力やリタイヤしたシニア層のパワーに目を見張るものがあります。身近な繋がりの中で織りなすユニークな人財版サーカスが展開されるフィールドに、あたらしいグローカル(Global&Localの俗語)な世界の可能性を感じます。

学び舎の在り方も大いなる変革を迎えています。
昔の寺子屋では、孔子や儒教を沁み入るように教える場があり、いざ!という時に考えを超越した判断と行動が起こせる若人を育成していました。その人財インフラこそが、後の国防や世界への覇権に日本を導いていたことは歴史が証明しております。
“温故知新”・・我が母校も、故きを温ね“あたらしさ”を再考する学び舎であって欲しいと切に願います。当同窓会も「つたえ」「つなげ」「つづける」、この三つの「つ」を念頭に活動して参ります。

戻る
ページトップへ