2015/07/28

第10号

同窓会の「あたらしい」取り組みとは

今、地方行政は、将来都市像を定めた基本構想の中で、価値観が多様化している現代社会においては、様々なまちづくりの課題を解決していくために、社会を構成する全てのものが協働して取り組む「市民と行政がともに築くまち」を目指しております。

また多くの大学や学校は、地域の「学び舎(まなびや)」の拠点として、地域の人々と一緒に学び、相互にふれあい、協働でおこなうことによって「地域社会が頼れる人材」、「地域とともに生きるキャンパス」となることを目指しています。

この基本的な目標のもと、行政や大学(学校)は拡大する公共的ニーズに対し、市民や民間の企業や団体等と、互いに協力し合いながら対応する「協働」の枠組みの積極的な活用を実践・推進しております。しかしそれを具体的なカタチにする「知や技法」については、なかなか見い出されておりません。

私が理事長を務めるNPO法人いちかわライフネットワーククラブは、10年以上も前に内閣府が進めていたSMO(ソーシャル・マネージメント・オフィサー)の地域版として、全国でも初めてTMO(タウン・マネージメント・オフィサー)を実践しました。

地域創生を実現するためには、産官民学を問わず、それぞれの現場・立場で具体的な課題と向かい合う問題意識が重要であることはいうまでもありません。しかし問題意識を持っているだけでは不十分であり、より高い視点で課題を捉え、解決策を提案し、多くの人の理解と協力を求めるという「実行力とネットワーク形成」が必要です。さらに地域課題の解決を、意識の高い一部の人材に期待するだけでなく、様々な立場から実行力のある人材を育成する環境をサポートすることが大切です。問題意識を持つ市民や学生に様々な立場の有識者(専門家ではなく当事者として実行している)から経験値を教示し、それぞれの目線で議論を重ね、解決提案の合意形成ができる「場づくり」と「関係づくり」を行うことが重要であります。

私達のTMOは、多くの修了生が、さらなる市川市と地元大学(千葉商科大/和洋女子大)との「協働」に積極的に参加し、それぞれの分野で実績を上げております。

市川市からは、持続可能な行財政運営のもと、市民と市とが手を取り合って魅力あるまちづくりを進めていけるよう、市政戦略会議にて、市が取るべきこれからの協働体制の方向性を提言して参りました。また大学とは、今後とも地域社会の問題解決と地域活性化のため、全学的な地域連携推進体制を強化し、学生たちの地域を志向した教育・研究・社会貢献に取り組むため、TMOとの積極的な「関係づくり」を進めております。

現在、母校東海大浦安では、文部科学省から「生涯学習」教育を率先して取り組みよう要請されております。TMOにおける実践と経験をプログラムの一環として協働するため、本年より、同窓会として学習の「場づくり」だけでなく運営資金も提供してまいります。さらにこのような支援の在り方こそ、社会人の集積である同窓会の役務であると考えます。

これからも母校の生徒が、将来、広義的意味でのまちづくりのキーパーソンとなり、大いに社会に貢献し、活躍されることを期待したいと思います。

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